だからやっぱりギブソンが好き

Gibsonの古いギターと、ラグタイム音楽、そしてももクロをこよなく愛するフリー物書き、キタムラのブログ

【ももクロ考その10】ベースを弾くことになった高城れにに、飛躍の予感を感じる

ごぶさたしてました。

 

先日、GWに入るちょっと前だったと思うけど、ちょっと嬉しい出来事がありました。

フジテレビの『ももいろフォーク村NEXT』の番組特製缶バッチを送ってもらったのです。

 

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いやぁ、、この番組のファンの一人として、素直に嬉しいっす。

ありがとうございます~

 

これは、リクエストが採用された記念品なんです。

4月20日の放送で、僕がリクエストした曲が採用された、その記念です。

 

 

リクエスト曲は、昭和の女性フォークデュオ「シモンズ」が歌った、『恋人もいないのに』。

ハイトーンの女性2声が絡み合う、とってもきれいな曲です。

歌詞は、今風にいうなら非リア充の女の子の微妙な心理、とでもいいますか、、まあ、そんなふうに言っちゃうと身も蓋もないのだが(笑)

これを、れにちゃんとしおりんが、とってもすてきに歌ってくれました。後半は坂崎村長も入ってきて、3声になって。最後は村長の「やんや」も出る、すばらしい演奏でした。

 

番組プロデューサーのきくちP氏も、ブログで絶賛しています。

http://otogumi.fujitv.co.jp/lovekp/E20170423004.html

 

ところで、れにちゃんとしおりんのユニットには、「ももたまい」とか、「推され隊」とか、ああいう感じのユニット名はないんだろうか?

この二人が組んで歌うのはごく稀、ってしおりんが言ってたから、名前はついてないのかもしれないですね。

でも僕は以前から、この二人の声はきっとフォーク調の曲にぴったりはまるって思っていたので、そういうリクエストを送ったのです。それが見事にマッチしました。

ユニット名無しにしておくのがもったいないぐらい。

 

だから、これからも、この二人に合う曲を見つけたら、リクエストしたいと思います。

 

さて、、、この番組で、しおりんがすごい勢いで音楽的な成長をしているのは、ご存知の通り。

ハモりも上手くなったし、ギターもピアノも普通にちゃんと弾いてます。

その話は、このブログでもなんどか触れてきました。

 

で、、、今回はそこはちょっと置いといて、、

今日は、れにちゃんのお話をしたいと思います。

そうです、最近の僕は、この番組の中で、れにちゃんの姿に注目してきたのです。

 

れにちゃんに関するフォーク村的ニュースといえば、最近、ベースを弾き始めたことでしょう。

 

もともとももクロの5人はこの番組で、坂崎さんの指導で、ギターを始めたんですよね。これは番組スタート時からの企画だから、もう3年目になります。

 

しおりんとあーりんは、すぐに上手くなった。まあこの二人は、見るからに「ギター大好き!」ってオーラを出していたので、上手くなって当然でしょう。

ももかもまあまあ。かなこちゃんは最初、かなり苦戦してたけど、最近はだいぶん形になってきた感じです。

 

で、、、そんななかでれにちゃんは、手の骨折というアクシデントが重なったこともあり、一人で遅れ気味だったわけです。

 

そこで、坂崎村長かられにちゃんに、「ベースを弾く」というミッションが出された。

 

まあ、露骨に言ってしまえば、一種の救済措置とも受け取れます。

ギターとベース、弾くのはどっちがやさしい?って問われたら、とりあえず初心者レベルに限って言えば、ベースの方がやさしいでしょうから。

弦の数が少ないし、コードを押さえる必要もない。

ベースと5度を往復するような、シンプルな単音フレーズが中心です。

 

いやもちろん、「ベースはやさしい楽器だ」なんていうつもりはないですよ。

僕は学生時代、バンドでベースを弾いてたので、ギターにはない難しさがあるのはわかってます。

ギターを弾ける人は大抵、ベースを舐めてるんです(はい、僕も最初はそうだった)けど、実際に弾いてみると、ギタリスト頭では、ベースらしいかっこいいラインはなかなか弾けない。

ベース的なセンスを自分なりに把握するのには、けっこう大変でした(今もあんまり自信ないです、たまにイベント系の臨時バンドで弾くけど)。

 

まあ、それはそれとして。

れにちゃんに関しては、このままギターで頑張るのもしんどそうだし、ベースにしてみようか? っていう流れがあったのは、容易に想像できます、はい。

 

だけど、、、それがいい具合にハマりつつあって、そのおかげで最近のれにちゃんは、目の輝きがちょっと変わってきたんじゃないかなぁ、と、そんなふうに僕は見ているのです。

 

ベースって、チューニングがギターと重なってるし、名前も「ベースギター」っていうぐらいで、まるでギターの亜種のような印象を抱きがちだけど、バンドの中で演奏してみると、ギターとは位置付けがずいぶん違います。

 

そもそも、ベースは通常、バンドに一人しかいません。

一人で、音域的にも、ハーモニー構成的にも、他の楽器とほとんど重ならない低音部を担当しています。

キーボード系の楽器ならベースと同じ音域を出せますが、ベースがいる場合は通常、そのレンジの音はベースに任せて、あまり被らないようにしてます。

 

だから、ベースが出すべき音は、ベースが出すしかない。

ベースが手を止めたら、その音域を出す人はほかにはいません。

そこはアンサンブルの最低音部なので、そこが抜けるとスッカスカの頼りないバランスになってしまう。

 

一方、ギターはどうか。

 

バンドにギターが何人いるかはケースバイケースですが、2人以上いる場合も少なくない。

さらに、「和音を出す楽器」という同じ位置付けのところに、ピアノ(キーボード)という強力な担い手が重なっている場合もあります。

そのうえ、音域的にはボーカルともおおむね重なります。

 

つまり、アンサンブル全体の中での重み付けは、意外に軽いのです。

まあ、その分自由度が大きい遊軍的楽器、とも言えますが。

 

これだけでも、ギターとベース、随分違いますね。

 

ももいろフォーク村は、当初、ももクロ5人でギターを弾いてました。

こうなると、難しいコードのところで誰かがときどき休んだりしても、全体のサウンドはそんなに変わらない。

だから最初の頃は、坂崎さんがかなこちゃんに、「難しいコードは飛ばして、次のコードを押さえて準備しておこう」などという、実に現実的な(笑)アドバイスを伝えたりしてたほど。実際、ギターが5本もあれば、一人や二人がそんな作戦を取っても、なんら問題ないのです。

 

でもベースでは、その作戦は通用しない。

 

もう、「私がやるっきゃない」って腹をくくってやるしかない。

 

フレーズ自体は単純(やさしい)でも、背負っているものはけっこう重い、と言えます。

 

こういう役割が、れにちゃんの背中をすこーし押すための、絶好の状況になってると思うのです。

 

ももクロ関係者のインタビューなどをいろいろ読んでいると、れにちゃんは、「腹をくくる」のに少し時間がかかるタイプのようです。

だから、本番の前に必ず、「不安だ」「怖い」「大丈夫かな」みたいな不安定な感情が込み上げてくる段階があるらしい。

そこを乗り越えてステージに出てしまえば問題ないのだけど、乗り越えるのに、いちいち通過儀礼的な段取りがある。

 

まあ、芸能界歴がかなり長い人でもそういうタイプの人はいるようなので、それ自体は「そういうタイプ」ってことで問題ないようですが。

 

でも、楽器演奏というこれまでのももクロ活動にはなかったジャンルで、しかも骨折というアクシデントの結果として他の4人から出遅れてしまった、という状況においては、、、楽器を弾くことに対して前向きな気持ちを保つのがちょっと難しい状況になったとしても、おかしくありません。

 

で、ちょうどそんなときに、「君にベースを任せるよ」っていうアサインが出てきた。

 

実際、ベースって、けっこう腹をくくる必要がある楽器なんですよ。

 

たとえば、あの太い弦をボンと弾いていい音を出すのは、意外とたいへんです。

もちろん、どんな弾きかたをしても、なんらかの音は出ますよ。

でも、しっかりした芯のある音を出すには、けっこうな気合いが必要。

大事なのは「力」じゃありません。「気合い」なんです。

ためらったり、「間違えるんじゃないか」って恐る恐る弾いたりしてると、本当にしょぼい音しか出ない、そういう楽器なんです。

 

まあこれは、ギターなど他の楽器でも本質的には一緒ですけどね。

でも、ベースはその落差がとっても大きい。僕の感覚では、ギターやピアノの比ではありません。

ギターやピアノは、どんな弾き方をしても、そこそこな感じの音は出る。でも、ベースはもう、気持ちが芯を外すと、本当にダメです。

だからここは、間違えた音がでたらでたで、もうしょうがないって腹をくくって、「えいやっ」ってボン!と鳴らすしかない、そういう楽器なのですよ。

 

リズムについても同様のことが言えます。

 

バンドの中で、ベースはドラム類と一緒に、リズム楽器としての役割を担っています。

だから、個人で練習するときによく、メトロノームに合わせて弾くのをやります。

 

30年ぐらい前、僕もそういう練習をよくやってました。

当時、ベースマガジンという雑誌はまだ創刊しておらず、あったのはギターマガジンだけ。その中に「ベース講座」という連載があって、メトロノーム練習のコツとして、確かこんな話が載っていました。

 

メトロノームに合わせて弾いてはダメ。メトロノームが自分の音に合ってくるような感覚をつかむこと」

 

合わせて弾こうとすると、どうしても◯×クイズみたいになって、音の出し方がためらいがちになる。そういう弾き方では、たとえメトロノームに合ったとしても、いいリズム(ノリ)にならない、と。

 

そうではなく、あくまで自分のノリとしてビートを刻む。でもって、そうやって出る音が、結果としてメトロノームとぴったり重なる=メトロノームの方があってくる、そういう感覚をつかみなさい、と、そういうことなんです。

 

この意味でもやっぱり、ベースは、腹をくくってボンボンボンって弾くしかない楽器なんですよ。

 

たぶんね、、、れにちゃんにこういう楽器をもたせたのは、大正解です。

れにちゃんの成長を引き出すという意味で、大正解です。

 

 

「初めてのももクロ」っていう、これまでのももクロの歩みをダイジェストにまとめた動画があります。

あの中に、れにちゃんがマネージャーの川上さんからものすごい勢いで怒られているシーンが収録されています。

 

横浜アリーナだったかな、とにかくそれまでとはレベルの違う大きな舞台でコンサートをすることになって、そこでリハーサルをやって、、そのダンスパフォーマンスについて怒られていたれにちゃん。

 

「あんな縮こまった動きで、このでかい会場の一番後ろまで伝わるわけがないだろう!」

 

で、、最終的にれにちゃんは会場の最後列に連れていかれて、、、そこからステージを見ることで、自分がどんなダンスをするべきなのかを実感する・・・というような流れでした。

 

いま、れにちゃんはたぶん、「ベース」という楽器との付き合い方に関して、あの時のダンスと同じようなハードルに直面しているところなのだと思います。

 

音をどーんと届けるためには、腹をくくって、やるっきゃないのです。

 

いまのれにちゃんはちょうど現在進行形で、少しずつベースが弾けるようになってきてるところです。

 

たぶんその中で、自分でもそういう感触を感じつつあるんじゃないかな。

 

 

で、、そこで一つ突き抜ければ、その感覚が今度はまた、歌やダンスに生きてくる。

 

ベースは、ギターやピアノのような小難しい顔をした相手じゃないです。

腹を割って向き合えば、即座に、素直に反応してくれる、けっこう単純な、いいやつです。

 

れにちゃん、がんばれ~。応援してます。