【マイギブソンその6】隠れた名機「J-185」は、戦前ギブソンの後継者
僕が思うギブソンアコギの絶頂期は、1930年代。
もともとマンドリンとアーチトップで培われた音づくりのノウハウが、フラットトップという異分野楽器でも結実し始め、、、
非常にユニークで、かつクオリティーの高いモデルが、次々に生まれていた。
その代表例が、ここまでこのシリーズで紹介してきたNick Lucasであり、Advanced Jumboであろう。もちろんそれ以外に、J-35やL-century、L-00なども、同時代のマーチンギターなどとは明らかに異なる、ゴリッとしたアーチトップ的サウンド特性を持っている。
それが、40年代以降になると、ちょっとずつ雰囲気が変わってくる。
「悪くなった」とは言わないけど、、、30年代に色濃く感じられたそれっぽさ(アーチトップっぽい感じ)が徐々に薄れ、「普通のいいギター」になっていくような感じなのだ。
正直にいうと、40年台前半(いわゆるバナー期)あたりのJ-45などは、とてもいいギターだと思うけれど、個人的には、「欲しい」とは思わない。
(これは、僕が戦前のマーチンギターに接した時に抱く感想と共通である)
30年代のJ-35なら、あわよくばそのうち1本、、という気持ちが湧き上がってきたりするんだけどね。。
何が違うんだろうね。
なぜそうなったのか、という理由なんて到底わからないけれど、鳴り方の特性は、明らかに、違うんだな。
で、、、そこから時代は戦後へ進み、、ギブソンのフラットトップは、50年代のJ-45に象徴されるような、ジャキジャキ、ゴリゴリした無骨な音へと傾いていった。
これはこれで魅力的な音である。唯一無二な感じもする(マーチンと比較して明らかに違う、ってことね)。
J-200も、そっちの路線の音と言っていいだろう。後に出てくるダブやハミングバードと並んで、見た目的にも華やかなギブソンらしさを強く打ち出している。
、、、といった流れの中で、ひとつだけ、僕の感覚では、30年代ギブソンのエッセンスを引き継いだように思える機種がある。
J-185である。
J-200をややサイズダウンした、弟分の機種として、1951年に発売された。
それから1958年までに、900本程度しか造られていない。希少な部類に入る製造本数であり、現在のビンテージ市場でも、比較的レアな方と言える。
ボディは、J-200よりやや幅の狭いだるま型。このボデシェイプが実は、L-5などのアーチトップ機種と同じなのである(厚みはJ-185の方がだいぶん厚いが、正面から見た形は全く一緒)。
そのため、、、かどうかは知らないが、その音色も、アーチトップギターに近い、メロウな中にざくっとした芯がある感じなのだ。
その感じが、、、30年代のギブソンと共通、というふうに、僕には思える。
いや、まあ、、、自分で持ってる機種なので、若干身びいきになってる感は否めないけど、、、笑
まあ、でも、こういう趣旨で気に入った音が出るモデルだから、持っている、とも言えるよね。
うちにあるのは、1956年製。
はい、こんな音です。
The Entertainer (Scott Joplin) : fingerstyle guitar / Gibson J-185 (1956) / Masahi Kitamura
ギブソンのフラットトップは1955あたりを境に、トップのブレーシングがスキャロップからノンスキャに変更されており、、
このJ-185もそんなわけで、ノンスキャブレーシングだ。
買った時、購入店にちょうどスキャロップモデルもあったので、弾き比べて、気に入ったこちらの方をゲットした。
僕が持っているギブソンの中では、かなり新しい部類に入るんだけど(笑)、、
でも、とても気に入ってます。