だからやっぱりギブソンが好き

Gibsonの古いギターと、ラグタイム音楽、そしてももクロをこよなく愛するフリー物書き、キタムラのブログ

歌う心理カウンセラー、武道館ライブ

昨日は、武道館でライブを見てきた。

ここに来たのは、ずいぶん久しぶり。かなり前にクラプトンのライブを見にきて以来かな。

 

今回ここに登場するのは、心屋仁之助さん。

http://www.kokoro-ya.jp/

 

はい、心理カウンセラーです。歌手じゃない。

でも最近はカウンセリングはやってないらしい(笑)。

代わりに、講演会やセミナーで喋ったり、ギターを持って歌ったりしている。あとは本を書いたり、Podcastの番組で喋ったり。

 

本人曰く、「心がときめくことしかしない」のだそうです。

 

その集大成としての、武道館ライブだ。

 

僕は去年ぐらいから、心屋さんのセミナーなどにちょこちょこと参加している。

話が面白いし、自分にとってためになることが多いので、心屋メンタルメソッドのファンになったわけだ。

 

ただ、正直なところ、歌に関しては「うーん、どうかな・・・」って思っていた。

 

 

僕は、自分でも音楽活動(主にラグタイム系のソロギターインスト)をやっていた時期がある。

オリジナル曲を作り、CD(オムニバス盤ですが)に録音し、ライブもそれなりにがんばってやっていた。

 

だから、ギターを使った音楽に関しては、ちょっとうるさい。

 

そういう立場から言わせていただくと、、、セミナーなどで耳にする心屋さんの曲は、正直、「しょぼい」と感じていた。

 

歌詞は、まあ、いいとしよう。これは心理カウンセラーが自分のセミナーで歌う歌なのだから、通常のラブソングとかではなくてメンタル系の内容になるのは、必然的だろう。

 

だけど、コード進行とか、メロディーとか、バッキングのギター演奏などがいまいちパッとしないのはいただけない、、、と、そんなふうに思っていた。

 

 

それなのに、、セミナーなどで心屋さんが歌うと、すすり泣く参加者が続出する。

これは何なのだろう? ってね。

 

まあ、音楽の好みは人それぞれだから、こういう歌が心に響く人がいても別に構わないけど、、、僕はいいや。。

 

。。と、そんな感じでなんとなく斜めに見ていた。

 

それに、、、メインで使ってるギターがtaylorというブランドなのも、いまいち気に食わなかった。
まあ、、これは完全に好みの問題だから、余計なお世話だけどね(笑)

 

だからこの武道館ライブの話を聞いた時も、最初は「あ、それはパス」って思った。

チケット代もそれなりに高いしね。1万円もする。

 

それだったら、お気に入りの別のアーティストのライブに行きます、と、そんな気分だった。

 

だけど、、

 

facebookなどで流れてくる、いろんな立場の人が書いた「心屋仁之助独演会を応援するブログコメント」などを、日々、目にしているうちに、なんとなく気分が変わってきた。

 

そこで語られていたのは、、、

 

「なぜ、カウンセラーが武道館を目指すのか」

 

心屋さんのメッセージの基本構造は、そんなに複雑ではない。

 

人は誰もが、素晴らしい価値や資質を持っている。

それを存分に開花させれば、誰でも幸せになれるし、人を幸せにすることもできる。

なのに多くの人が、自分を責めたり貶めたりして力を削ぎ、ブレーキをかけ、うじうじと拗ねた、モヤモヤした心理状態で生きている。

あなたはもっと素晴らしいんだよ。すぐ幸せになれるんだよ。

 

・・と、そう思えるように自分の中のスイッチを切り替える(ないしブレーキを外す)には何をすればいいか、、というのが、心屋メソッドの具体的な中身で、、

ここでひとつカギを握るのが、最初に書いた「ときめくことしかやらない」という姿勢。

 

好きなこと、心がときめくことだけをやる、それ以外はやらない、という生き方を選択すると、物の見え方が変わっていくのだ。

 

・・・いやいや、そんな都合のいいやり方で生きていけるほど、世の中甘くないよって、たぶん多くの人はそう思うだろう。

 

はい、僕も最初は、そう思った。

 

「好きなことだけやって生きていけるなら世話ないよ、人生、嫌なことや辛いことだって頑張ってやらなきゃいけない場面もある」って。

それが当たり前だろう、って思ってた。

 

だけどね、、、

 

そういう考え方には、一つ落とし穴があってね。

 

そうやって、辛いこともがんばる態度で生きていると、いつのまにか「嫌なこと」や「辛いこと」が、ぐんぐん増ているのだ。

気がつくと、自分の周りのほとんどすべてが、「本当は嫌だけど頑張ってやってる」事柄ばかりになっている。

もともとは好きでやっていたことさえ、なぜか「いやだけど頑張ってやること」に変質してしまうのだ。

 

だから、人生が辛い。どんどん辛くなる。

そりゃあそうだ。わざわざ自分で辛くしているのだ。

 

この辺の流れは、ひとつ前のこの記事「好きなこと」と「得意なこと」の境目

で取り上げたので、よかったらそちらも読んでください。

 

そこで逆に、「好きなこと、ときめくことしかやらない」と決心すると、、、、

 

当然ながら最初は、やれることが減っていく。友達も、収入も、減る。

 

でもそれは、「好きだからやっている」という当たり前の感覚を取り戻すための途中経過状態。

 

この感覚が戻ってくると、、、今度は、「好きなこと」「ときめくこと」の幅が、むしろ広がっていく。

 

「ときめくことしかやらない」のは、世界を狭めてるわけじゃない。

むしろ、自分がときめける対象を広げている(結果として、ね)。

 

(最近の僕は、この辺りの変化を実感し始めたところにいる)。

 

そして、、、そんなふうに「好き」「ときめく」を軸に行動するようになると、自分も、周りも、楽しく幸せになれる、というわけだ。

 

心屋さんは個人相手のカウンセリングをやめた時に、「自分と会うだけで相手が幸せになるような存在になる」と決心したそうだ。

会うだけで癒される。これぞ、究極のカウンセリングといえるだろう。

 

その集大成が、今回の武道館ライブ。

 

自分が好きな歌を歌い、その「好きなことをやっている」という“オーラ”で、周りを幸せにする。

 

まあ、考えてみれば、本来、ミュージシャンとはそういうことをやる人であろう。

あるいは、アートとか芸能と呼ばれるものの本質的な価値は、この辺りにある、ともいえる。

 

それを、アーティストではなく、メンタルの世界に身を置くカウンセラーが、大真面目にやる。

「カウンセリングよりこっちの方がいいだろ?」って宣言してるようなものだ。

 

これはやっぱり、見とかなきゃいかんよな、という気分になってきた。

曲が好きとか嫌いとか、そういう次元の話じゃなくて、この姿を見ておかないと。

 

それで、、チケットを購入し(二階席の端っこの方だったけど)、どれどれって出かけてみた。

 

結論から言うと、、、

 

いやぁ、とにかく楽しかった。

なによりも、仁さん本人が誰よりも、武道館という最高の舞台の魅力を楽しんでいる。

その姿が放つものによって、自分の心も、そして自分の周りに座っている多くの人たちの心も、ぐんぐん楽しくなっていくのが、はっきりと感じられた。

 

なるほど~、こういうことを言ってるんだな。

 

あと、、、これはまあ、いまやどちらかというと蛇足なのだけれど一応書いておくと、、

 

心屋さんは、このライブに向けてキーボードを練習したということで、キーボードの弾き語り曲もたくさん披露してくれた。

これらの曲が、実に良かった。

たぶん、違う楽器で曲を作ることで、いままでの手癖コード進行から離れた、新しい発想がいっぱい降りてきたんだと思う。

いままでと違うところまで、心屋音楽の世界が広がったように感じた。

 

そう、たぶん心屋さんの中でも、「好き」が日々、広がっているのだろう。

 

(つまり、キーボードを弾くのも楽しんでやっているのだろう、ってこと。これがもしライブイベント企画上のマーケティング戦略に基づく必要性として義務的にやっていたとしたら、あんないい曲はできてないだろうし、あの場もあんなに楽しいものではなかったはずだ。要は、そういうこと)

 

で、そんな生き方を貫いていると、武道館サイズの人数をハッピーにできるところまで、自分の中のパワーが高まっていく。

そんな実例を、心屋さんは見せてくれた。

 

とにかく、いろんな意味で元気をいただきました。

 

おつかれさま。そして、ありがとう!