細胞質の相転移(論文クリップ)
「cell」の論文から。
Cell, Volume 156, Issue 1, 183-194, 19 December 2013
バクテリアの細胞内のいろいろなターゲット分子を追跡して内部の流動性を測定するという、実験現場を想像するだけで気が遠くなるような研究。結果、小さな分子は液体的にうごき、大きな分子は固体的に動かなかったという。
で、細胞内の代謝活性が活発になると、流動性が全体的にアップして、大きな分子も動き始める。
つまり、代謝状態(細胞の全体的な活性)の変化に伴って、細胞内の構造に、ある種の相転移が起きるのでしょう。
代謝状態は、外部からの刺激で変わることが多いだろうから、この結果はさらに、「外部からの刺激によって細胞内の流動性、ひいては“柔らかさ”みたいなものが変化する」と解釈することもできるでしょう。
話をうんと飛躍させるなら、マッサージや「手当て」がここちいい理由の原点が、この辺にあるのかも、なんて妄想もできます。
もっとも、この研究はバクテリアの話。人間など多細胞動物の細胞質に同じ原理が適用できるかは、まだわかりません。