認知症が早期発見できる? 文章を読むときの目の動きをモニター
Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology Volume 36, Issue 3, 2014
文章を読むときの目の動きをモニターすると、
アルツハイマー病による認知症が早く発見できるかもしれない、という研究。
文章を読むとき、人は文法の構造に従って先の展開を予測し、
意味を取るために必要な単語に先回りしたり、
重要性の低い単語をスキップしたりする。
そのためには予測力、ワーキングメモリー(ごく短い時間の記憶を支える)、
統合力といった脳の機能が必要になる。
アルツハイマー病ではこういった脳機能が衰えるため、
分量を読むときの目の動きが、健常者と異なるパターンになり、
スピードも落ちる──というお話。
なるほど。
確かにありそうな話だと思います。
着目点としては、非常に興味深いです。
ただねぇ、、、そうやって仮に早期発見が可能になったとして、
その人たちをどうするのかということの方が大問題なわけで。
「効果的な治療法がある」というのであればまだいい。
(まあ仮にそういう話だとしても、ふたを開けてみたら
患者数がやたら増えて製薬企業が儲かっただけだった、
となる可能性もあるが、、)
アルツハイマーの場合、果たして治療や症状の進行遅延はどこまでできるのか。
さらに大きな問題は、、、
「早期発見」というと言葉はきれいなんだけど、実際には、
正常な老化現象とどうやって線を引くのかが難しいと思われる。
昔なら「ちょっとぼけてきたけど人のいいおじいちゃん」ぐらいで生活していた人が、
新しい検査を受けたら軒並み治療だの隔離だのの対象になった、、、なんてことも、ありえる。
ああ、この研究がそういう狙いだっていってるわけじゃないですよ。
この研究は、現時点ではまだ基礎段階。
病気の成り立ちや進行を理解するためのデータ、という位置づけと思われます。
ただ、その向こう側には当然、社会的な対策を見据えている。
この研究だけじゃない、
同様に「認知量の早期発見」をうたう技術の研究は、ほかにもたくさんあるでしょう。
そしてそこには、医学的なお話だけでは割り切れない問題が必ず出てくる。
・・・なんてことを思わず想像してしまったのでした。