ギブソン,ももクロ,ラグタイム 

Gibsonのギターと、ももクロ、ラグタイム音楽を愛する物書きおじさん、北村昌陽のゆるゆる音楽ブログ

ラグタイムギターに入っていくきっかけは、「中島みゆき」だった

中1でギターを手に入れ、嬉々として弾き始めた日々。
最初に取り組んだのは、いわゆるフォークソングの弾き語りである。

確か、ギターを買ったお店の人が、おまけで「初めてのフォークギター」みたいな入門書をつけてくれた。
その最初に載っていた曲が、「いちご白書をもう一度」だった。

ああ、この歌なら知ってる。そんな感じでやり始めた。

出だしのコードがAm、次がEm、そして3つ目にして、いきなりFが出てくる。いま思えば、あんまり初心者向けじゃないよな(笑)


まあ、、でも、そのうちなんとか弾けるようになったんだろう。
中学生ぐらいの年頃は、なにをやっても上達が早いから。

このぐらいの年代の子供が、何かを好きになって、寝食忘れてやり始めたら、、

とてつもないスピードで上達するよね。
たぶん、人生で最も技能習得速度が早い。

その「初めてのフォークソング」みたいな本には、こんなことが書かれていた。

 

フォークソングの伴奏に使う3大テクニックは、ストロークアルペジオ、スリーフィンガーです」


で、それぞれのテクニックを使って演奏する曲が、並んでいる。


「いちご白書〜」は、ストロークの課題曲。

アルペジオの課題曲は、、なんだっけな、たぶんなごり雪とかかな。
で、スリーフィンガーになると、22才の別れとか、岬めぐりとかが出てきたんだろうね、きっと。もう覚えてないけど。

そこまで行けば、はいおめでとう、あなたはもうフォークギター完璧です!みたいな気分になる。

 

それで、、中学生が寝食忘れて取り組めば、、、

はい、1年もかかんないで、その辺まで行くわけよ。

で、中2ぐらいで「よし、オレはもう、フォークギター完璧!」とか、思ってたわけ。

 

まあ、こういうのも、一種の中2病か(笑)

 

そんなわけで、ギター演奏に対して、ちょっとした飽和感といいますか、中だるみ的な感覚を抱いていた時期があったのね。

 

当時、僕は札幌に住んでいた。

そのころ北海道では、松山千春さんがフォーク歌手として売り出し中。地元のラジオ局で番組を持ち、知名度と人気が、ぼちぼち上がり始めていた。

その番組は、僕もちょこちょこ聴いていた。

ある日、そこに、中島みゆきさんがゲストで出ていた。

みゆきさんは当時、すでに地元出身のスーパースターで、僕は、彼女の歌が大好きだった。

いっぽう、千春さんはまだローカルシンガー。みゆきさんとは、まあ、格が違う。

千春さんももちろんそれはわかっていて、「せんぱーい!」みたいな感じで持ち上げまくっている。

トークの中で、ギターの話題になった。

千春さん曰く、みゆきさんは、めちゃめちゃギターが上手いらしい。


スタジオにギターがあり、、千春さんが、みゆきさんにギターを差し出して、こんなお願いをした。

 

「先輩!なんか弾いてくださいよ〜」

 

みゆきさん、、「うーん、じゃあ、わかれうたのイントロでも弾こうか」

、、、ここで、最近の人は知らないかもしれないから一応言っておくと。

「わかれうた」っていうのは、ちょうどこの頃シングルカットされた、中島みゆきの曲。
Youtubeを見てみたけど本人の動画はないようなので、研ナオコさんの歌で聞いてみて。イントロは、まあ、原曲とほぼ一緒だと思う。
ああその曲なら知ってるよ、っていう人も、一応イントロだけでもさらっと聴き直してもらうと、この後の話が入りやすいかも。

 

youtu.be


ああ、、みゆきさんらしい、せつな苦しいうただねぇ。

でも、、、イントロだけギターで弾くって…?

とか思っているうちに、みゆきさん、弾き始めた。

それが、こんな感じだったのですよ。

(そのときの本人演奏の音源なんてどこにも残っていないだろうから、ここでは僕が弾いています。こんな感じの生演奏がラジオから聞こえてきた、と想像しておくれ)

youtu.be


こんなのを、ストロークアルペジオとスリーフィンガーができればギターは完璧、とか思ってた中坊が、聴いちゃったわけですよ。

もう、ね、、ぶっ飛んだね。

え? ええ? えええっ?? なにが、どうなってるの???

伴奏と、メロディーが、いっぺんに弾けちゃってると!!

どうやったらこんなのが弾けるわけ???!!

それまでの自分のギター演奏の常識では、まったく理解できない。

それで、、、ですね。

このブログをいま読んでいる皆さんは、先ほどの動画を見ているから、「どうやったらこんなのが弾けるのか」を、視覚的に確認できるわけですよ。

だけど、中2のときの僕は、これをラジオで聞いた。

そこには、映像はない。

録音なんてもちろんしてないから、聞き返すこともできない。

もちろん、いわゆるソロギターと今では呼ばれているスタイルの演奏技術に関する知識も、なにもない。

 

「えっ??、なにこれ??」とか言ってるうちに、音はどんどん流れていって、30秒ぐらいで終わってしまった。


あとに残ったのは、驚きと、放心と、山ほどの疑問符。
そして、頭の中でループしている、記憶の中のギターの音。

 

さて、、、実はここからが、中学生の本領発揮なのね。

僕は、その脳内でループしている音を頼りに、「脳内耳コピ」を始めたのだ。

たった1回ラジオで聞いただけのギター演奏の音を、ひとつずつフレットの上で探していったのである。

よくそんなことできたなって、今でも感心するわ、ホント。笑

やっぱりこのぐらいの年頃は、脳の記憶力や吸収力が生涯ピークレベルだから、1回聞いただけの音を、丸ごと覚えてしまったんだろう。

その頭の中で鳴っている音を出すには、どんなポジションを押さえればいいのか。

伴奏のコードは、わりとすぐわかった。Emとか、Amとか、シンプルなやつだ。

で、、それと一緒に、メロディラインの音が弾かれている。

ってことは、、主に低音側の弦でベースやコードを弾きながら、高音側の弦でメロディを弾くのだな。

左手は、コードを押さえながら、メロディに必要なポジションも押さえるのだな。

 

、、、といった感じで、あれこれ試行錯誤を積み重ねること、おそらく2週間ぐらい。

わかれうたのイントロ(ソロギターバージョン)が、ついに完成した。

いやまあ、本人の演奏はそれ以降一度も聞いてないので、いわゆる「答え合わせ」はしていないけど、まあ、だいたいこんなもんだろう。

ここで大事なのは、、、

中2の僕がたどり着いたこの演奏が、みゆきさんの演奏と同じかどうか、ということよりも、、

こんなふうにして、コードトーンとメロディーを同時に鳴らす演奏が、ギターという楽器で可能なのだ、と、僕が気づいた点にある。

 

ピアノやオルガンに関しては、左手で伴奏、右手はメロディー、みたいな分担をすれば、両方同時に弾ける、という知識があった。幼稚園児の頃に、オルガン教室に通っていたからね。

でも、ギターはフォークソングの伴奏楽器=「コードを弾く楽器」って思い込んでいたから、そんな弾き方、思いもよらなかったわけだ。

おもしろいもので、、、このイントロをきっかけに、ひとたび、このようなスタイルの演奏が可能なのだ、という認識が出来上がると、、

 

そういうスタイルで演奏されている音楽が、耳に飛び込んでくるようになる。

たとえば、「アメリカ南部紀行」みたいなテレビ番組のBGMで、ちょっとブルージーなギター曲が流れていたりする。
それまでだったら聞き流していたであろうそんな曲も、「あれ、これ、もしかしたらギター1本でやってるんじゃ?」という意識で、耳を傾けるようになる。

で、、そうすると、そういうスタイルで弾かれてる曲が、世の中にはけっこうあるって気がつき始める。

すると、、、今度は、レコード屋さんでそんなスタイルの音楽を探し始める。

それで、、中学卒業〜高校生になった頃には、ドグ・ワトソンとか、ノーマン・ブレイク、チェット・アトキンス、キッキングミュール系のTab譜などを少しずつ見つけ、コピーするようになっていた。

そんな中で、徐々に「ラグタイム」というスタイルに傾倒していったのだ。

というわけで、その始まりは「中島みゆき」だったのです。