そもそも何でギブソン?
昨日も書いたように、僕はギブソンのギターの音が大好き。
思えば、ギターを弾き始めた初期の頃から、ずっとそうだったような気がする。
このギブソン好きは、どこから来たんだろうか?
今日は、自分の好みのルーツを掘り下げてみたい。
僕が最初のギターを手に入れたのは、中学1年の終わり頃。1977か、78年頃だ。
その前年の76年(小6)、僕は当時ブームだったBCLにはまっていた。
BCLとは、Broadcasting Listeningの略。主に海外の短波放送を楽しむことで、当時、松下さんやソニーさんから、短波受信機能を強化したラジオが多数、発売されていた。
僕は松下さんのクーガ115というラジオを親に買ってもらい、夜な夜な海外から届くラジオプログラムに耳を傾けていた。ラジオオーストラリアやBBCは、日本語の放送をしていたので、小学生でも十分、楽しめた。
プログラムは主に、音楽番組。
ラジオを、手に入れたばかりのカセットテープレコーダーにつなぎ、流れてくる曲を片っ端から録音して、テープが擦り切れるまで繰り返し聴いていた。
つまり、僕にとってはこのBCL経験が、人生初の本格的な「洋楽」体験になったのである。
いろんなミュージシャンの音楽が流れていた。中で一人、とても耳に残ったシンガーがいた。
ジェームス・テイラー。
あの甘くて繊細な声もさることながら、バッキングで流れるギターの音色が、強く印象に残った。
Sweat Baby James
youtu.be
この人の演奏を聞いたことが、自分がギターを弾きたいと思うようになった、大きなきっかけだったと思う。
まあ、好きになったミュージシャンはほかにもいたけど、ことギターサウンドに関しては、ジェームス・テイラーのインパクトが一番だった。
で、、中学1年も終わる頃、クリスマスと正月のおこずかいを総動員して、念願のギターを手に入れる。
近所のイトーヨーカドーで、2、3万円ぐらいで売っていたやつだ。中坊にしては大金だっただろう。
外観はマーチンのD-35とD-45を足して2で割ったような感じ。貝殻風のインレイやポジションマークも入って、それなりに綺麗だったのだけど、、、、
あのジェームス・テイラーのような音は出なかった。
なんか、、、ギターを手に入れたうれしさから一転して、結構がっかりしたのを覚えてる。ギターを買えば、ああいう音が出ると思ってたから(笑)
いやまあ、もちろん、買ったばかりで弾き方もよくわかんないうちから、まともな音が出るわけはないんだけど。
でも、、、なんかね、ああいう綺麗な音はでないなこのギターじゃ、っていうのはなんとなくわかった。
とはいえ、今みたいにインターネットとかはないし、当時の子供にとっては、ラジオやレコードで聞こえる音がどういう楽器で弾かれたものかを突き止めるのは、簡単ではなかった。
で、、、高校生ぐらいのころかなぁ? たまたま何かの雑誌で、小さな記事を見かけた。
「ジェームス・テイラーが使っているのは、ギブソンのJ-50というギターだ」と。
ギブソン。
名前はもちろん知っていた。ギター雑誌でよく「ギター3大ブランド」として「マーチン、ギブソン、ギルド」を紹介していたから。
でも、それぞれのブランドのギターがどんな音なのか、ということは、全くわかっていなかった。
そうかぁ、、あのJTのギターサウンドは、ギブソンの音なんだ。
これで、ギブソンというブランド名が、心に刻まれた。
さて、、ここで一つ、触れておく必要があるだろう。
一般に、ギブソンのギター(アコギ)の音といえば、ジェームス・テイラーのようなリリカルな音色ではなくて、もっとガツガツ、ジャキジャキしたロックなサウンドを思い浮かべる人が多いはずだ。
典型的なのは、例えば、こんな音。
youtu.be
この人が弾いてるギターは、
あのJTのギターも、こんなふうにガッツで弾けば、たぶんこういう音が出たはずだ。
典型的なギブソンサウンドといえば、大抵の人がこんなのを思い浮かべるに違いない。
もちろん、これはこれで、とても魅力的な音だ。
だけど、僕の心に最初に刺さったのは、これじゃなくて、JTのあの音だったのである。
せっかくなので、もう1曲挙げようか。
うーん、いい音だなぁ。。
で、、、ずーーっとときを経て、自分が大人になり、給料をもらうようになり、、初ギブソンを手に入れたのが、95年頃だったかな。
それはJ-50ではなくて、Gospelという、比較的チープだけど国内ではかなりレアなモデル。
楽器屋のウインドウで見かけて、ふと手にとり、ポロンと弾いたときに出てきた音が、記憶の中のJTサウンドとダブって聞こえた。
実はそのころの僕は、ギターから何年も離れていた。だけど、その音を聞いたときに、また弾いてみたいって思ったんだ。
そこからギターの世界に戻ってきて、はや四半世紀。
いまもギブソンの音が大好きだ。