だからやっぱりギブソンが好き

Gibsonの古いギターと、ラグタイム音楽、そしてももクロをこよなく愛するフリー物書き、キタムラのブログ

【ももクロ考その8】桃神祭参戦! ももクロはライブバンドだ!

毎日暑いですね~

 

まあ、夏ですから。

 

夏の風物といえば、なんでしょうか?

 

スイカにかき氷、花火大会、盆踊り、セミ捕り、海水浴、高校野球、、、

まあ、いろんなものが思い浮かぶと思います。

 

でも、モノノフにとって、夏といえばもうこれです。

 

「桃神祭」!

 

「とうじんさい」です。ももかみまつりじゃないので間違えないように。

 

夏のど真ん中、横浜の日産スタジアムに集結して歌い踊るももクロ最大のイベント。

これは「夏祭り」をモチーフにしたライブです。ということで、バックバンドには和楽器団が加わり、祭囃子的なアレンジを織り交ぜて演奏します。

全国のいろいろなお祭りを彩る踊りや山車、お囃子隊といった方々も多数、ゲストとして参加します。

 

これ、去年は、静岡エコパスタジアムで行われたんですね。

夏菜子ちゃんにとっては、地元凱旋ライブ。

 

僕は、去年の夏の段階では、そういうライブに出向くほどのももクロファンじゃなかった。

 

 

「ももいろフォーク村ネクスト」は毎回楽しみに見ていたけど、その時点ではまだ、あくまであの番組のファンであって、、、坂崎幸之助さんを中心とする音楽番組を見ている、という認識だったので、「ももクロの楽曲」にはさほど興味はなかったのです、正直なところ。

番組の中でたまに歌われるももクロの持ち歌に関しても、、まあ「いい歌だな」って思うのもあるけど、それほどピンとこないものもある、、、といった感じ。

 

変化のきっかけは、、、去年の夏に放映された、代々木体育館の生ライブイベント「ももいろフォーク村デラックス」や、毎年それと同時期に行われるアイドル系ライブイベント「Girl's Factory」、滋賀県で行われる野外音楽フェス「イナズマロックフェス」などの映像で、ももクロのライブパフォーマンスを見たことでした。

 

今ここに挙げたライブは、フジテレビネクストで放映されます。

で、、うちのCS受信機は、番組情報に「ももクロ」というキーワードが含まれている番組を、自動的にどんどん録画する設定になっているわけです(笑)

なので、これらの番組が勝手に録画されていた。

 

その時点では、「Girl's Factory」や「イナズマロックフェス」がどんなものなのか、なんの予備知識もなかったのです。ただ、録画されていたので、見た。

「あ、ももクロこんなところにも出てるんか、どれどれ・・・」ぐらいの認識で。

 

それで、、、ガツンとやられたわけですね。

 

「ああ、この人たちは、ライブ派なんだ」って思った。

 

ロックやジャズでも、ライブでパワーを出す人と、スタジオ製作が向いてる人がいますよね。ストーンズなんかは典型的なライブバンドだけど、ビートルズはスタジオにこもった、とか。

 

アイドル音楽っていうと、一般的なイメージとしては「スタジオ派」でしょう。

録音ならなんども録り直せるし、今どきは音程も音色も、補正でかなりのことができる。

まあ、、そんな風に作り込めるからこそ、、、「口パク」っていう概念が成り立つわけで。

そこに可愛さを前面に出したイメージビデオ的な動画がくっつけば、出来上がり、、、みたいな感じ。

 

「ももいろフォーク村」は生番組なので、補正して作り込むことはやってないけれど、それでもスタジオ番組ですから、なんとなく“スタジオ派”なイメージがあったのです。

 

ところが、、、先に列挙したフェス的なイベントでのももクロは、場合によってはアウエー感さえ漂うお客さんを相手に、ときに語りかけ、ときに笑いを取り、ときに挑発的にあおりながら、歌い踊る。その姿は、、まさに「ライブバンド」。

 

もちろん、ダンスを中心とするステージングのフォーメーションは、基本的には作り込んだものでしょう。

でも、、やらされてる感じとか、台本に沿ってるような印象は全く感じられない。むしろ、その場のノリに合わせたアクションや表現が、どんどん出てくる。

 

いわゆる「アイドルのパフォーマンス」のイメージとは、全然違うんです。

 

それで、「この人たち、何者?!」って思ったわけ。

 

というわけで、、、、去年の秋口ぐらいから、ももクロについていろいろと情報を集め始めた。

動画「初めてのももクロ」を見たり。

クイックジャパンのバックナンバーを買い込んで、小島さんのインタビューを読み込んだり。

もちろんCDや、youtubeに出ている音源・動画などもかたっぱしからチェックした。

 

で、、、その流れで、2015エコパスタジアムの桃神祭DVDも見たわけです。

 

まあ、夏祭りという設定の是非はともかく、、、和楽器も含めたバックバンドが作り出す、パワフルなアレンジの楽曲を次々と歌っていくパフォーマンスに、素直にしびれました。

うまい、下手みたいな評価目線じゃなく、、、ライブパフォーマーにはぜったい的に不可欠な聴衆の心を踊らせる熱感みたいなものが、そこにある。

そういうエネルギーを、強く感じました。

 

で、、こういうのは、やっぱり生で体験しなきゃ。

 

そのときから、もう心は決まってました。

 

「2016の夏は、ぜったい行くぞ!」

 

というわけで、、、、

 

はい、8月13日(土)の日産スタジアム、行ってきました!

 

やっぱりいいですねライブは。

あの熱い感じ(いや実際、暑かったし)。

その中で、放水弾の水しぶきでひやっとしたり。最後の花火では、会場中に火薬の匂いが立ち込めて。

 

席はずっと後ろの方だったのでメンバーは豆粒にしか見えないけれど、それでもテレビやDVDでは伝わらないものが、そこにある。

お客さんのどよめきとか、拍手の余韻とか。

そんな微妙な余韻を感じて、メンバーのトークのトーンも変化していく。

そんな「生」の場に自分も加わっている、という臨場感。

 

ちなみに、報道によれば、2日間で11万5000人動員したんですって。

この数字一つを見ても、この人たちはライブアーティストであることがうなづけます。

ライブを見に行くのは、CDを買うより、手間も時間もお金もかかる。それをあえてやろうというファンを、2日間で10万人以上も集められるって、、、いまどき、ものすごいことです。

 

世の中全体は、バーチャルな方向のテクノロジーの存在感がぐんぐん増しているわけですよ。

それ自体は良し悪し云々というものではないと思いますが、結果としてリアルなものの存在価値は、全体に下がっていく。

 

・・・という世の流れの中で、「ライブ」にここまでのエネルギーを投入しているももクロは、本当にすごい!

 

僕はこれで、今年の夏になって、ももクロ系ライブに3つ行きました。

 

杏果ソロコン

ももいろフォーク村デラックス

桃神祭(第1日)

 

外堀から埋めていって、3つ目でついに本丸到達、って感じでしょうか。

 

参加するいでたちも、最初の2つは私服(笑)だったけど、今回はしっかりカラーTシャツで、サイリウムを持って、、と。

これでやっとモノノフになった気がします。

(え、、Tシャツの色ですか? それは秘密です)

 

で、、そういういでたちをしていると、新横浜の駅を降りたあたりから、もうライブが始まってる感じがするんですね。

なにしろ、ホーム上からすでに、周りには5色のTシャツの人たちがわらわらといる。

もちろん、私服で参加したここまでの2つのライブでも、似たような状況はあったわけですけど、自分もそのいでたちに加わることで、周囲の人たちとの関係性が全く違うものになる。

 

「みんなでライブを作りに行く」みたいな心境が、勝手に盛り上がってくるんです。

 

ももクロがあなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがももクロのために何ができるか考えよう」みたいな気分になっていくんです、いやほんとに(笑)

 

もちろん、そういう気分になった方がライブを楽しめるのは、言うまでもないこと。

 

良くできたシステムだ。

 

で、、いざライブ参戦。

 

正直、音響的にはちょっときつい部分がありました。

(ネットで2日とも参加した人の声などを見ると、2日目には改善していたようなので、音響さんが必死に直したのだと思います)

 

でも、メンバーのパフォーマンスはお見事。

縦長のアリーナを広く使って、みんなが聴きたい「怪盗少女」を後方の第2ステージに持ってくるといった配慮も感じられました。

 

ずーっと見ていて、「ほほう、なるほど」って思ったのは、、、

 

会場にいると、テレビやDVDには映らないような、なんてことない仕草などがよく見える。

たとえば、しゃがんで飲み物を飲むとか。

第2ステージへ移動していくときの歩く姿(または小走り)とか。

 

そういう何気ない振る舞いに、意外なほどその人の人となりというか、雰囲気が漂うものです。

 

それでいいますと、、、今回は、いままで個人的にはあまり関心を持って見てこなかった(ごめん)あーりんの細かい仕草や立ち居振る舞いが、強く目を引きました。

 

なるほど~ああやってライブで見たら、あーりんにやられる人の気持ちがとっても良くわかりました。

そっかきくちPさんは、これにやられたんだな、って。

 

抜群に、可愛いのです。全身が表現する雰囲気が、可愛い。

誤解を恐れずに言うなら、表情のクローズアップよりも、遠くから全身を見る方が、その可愛さがよく伝わるんじゃないか、と、そんな感じなんです。

 

「振り」として作ってみせるポーズが可愛いのは、まあアイドルだから当然だとして、それ以外の、普通に歩いているところとか、くるっと振り返るとか、そういう動きが、なんともいえず可愛い。

 

いや、メンタリテイィーはかなり男っぽいというのは、知ってます。

でも、姿や振る舞いは、可愛い。

ああいうのはなんなんだろう、持って生まれた天性なのか?

 

そして、本当に楽しそうに歌い、踊る。

 

あーりんは、「ももクロのアイドル担当」っていう役どころを担っています。そしてアイドルという設定には、「ぶりっ子」という虚構性がつきまといます。

「かわい子ぶった姿をした仮面」と、「内側に潜む素顔の自分」のような二重性のリスクを、常に背負っているとも言えます。

 

でもあーりんは、「歌うこと」「踊ること」が大好きという一点において、その虚構的構造の中においても、「今生きている私」という実感軸を据えることに成功しているような気がします。

 

この辺の話はいずれ、きちんとまとめますね。

 

他の4人に関しても、「ああ、この人にはこういう面があるのか~」っていう雰囲気が、それぞれかいま見えた気がしました。

やっぱりテレビでは見えにくいものが、ふとしたところに覗くものです。

 

夏菜子は、ガチアスリート系。バスケ部キャプテンのようなキリッとした感じで、かっこいい。いや、しゃべるとぐだぐだになるんだけど(笑)立ち姿や歩く姿は本当、存在感がありました。実際の姿を見て、改めて、やっぱりセンターに立つのは夏菜子だよってはっきり感じました。

やっぱりね、、一人、朝ドラに選ばれるのも、納得です。「アイドル」っていうより、「スター」的な要素を持ってる感じです。

 

しおりんにも、かっこいい系の空気を感じます。体育会系というか。一方で、「こうしなきゃいけない」「こうあるべき」的な「ちゃんとしたい願望」がとっても強い人なんだな、というのも伝わってきました。特に、5人のメンバーが広いスタジアムの各所に散って、それぞれの空間でその場その場のお客さんと相対してパフォーマンスするような状況になると、その傾向が強く浮かんでくる。

それがしおりんの信頼の拠り所ではあるけれど、そこを突き抜ければもっとブレークできるのに、とも思う。もっともっと突き抜けて、自分が楽しんじゃえばいいんですよ。

 

杏果は、、ああ、この人は本当に音楽が好きなんだな、っていう空気。これはソロコンでも感じたことでしたが。音楽が流れているときは常にリズムを感じているし、ノリ方が体の中心から湧いてくる。

で、、ソロコンではその気持ちを会場全体に向かって遠慮なく全開にできたのに対して、ももクロでは、どこか自分の担当範囲に枠を作っている感じが否めない。もっと杏果の影響力で全体を引っ張るような部分が出てきてもいいのにな。その辺りのポジション感が変化してくれば、ももクロはもっと面白くなるんじゃないかなぁ。そんなことを感じました。

多分、これからはもっとそうなっていくと思います。ソロコンで蓋を開けた「表現することの面白さ」を、ももクロでもやりたいと感じるんじゃないかな。

 

そして、れにちゃん。僕がいた席の目前で、ブチ切れた水撒きパフォーマンスを見せてくれました。

れにちゃんは、あーりんとはまた全く違う方向で、可愛いんです。あーりんの可愛さは、誰もが認める類型にはまるのに対して、れにちゃんの可愛さは、型破り(掟破りともいえるか)。

その意味では、「アイドルの枠を破る」というももクロ路線を体現しているのは、れにちゃんだと言えますね。

 

やっぱり、ライブっていいですね。