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腸内細菌バランスをコントロールするホスト側メカニズム:カギはATPだった(論文クリップ)

医療/健康ニュース

腸管内の善玉菌増殖を、ホストの動物が分泌する物質が後押しするメカニズムが見つかりました。

Gastrointestinal and Liver Physiology, 2014; DOI: 10.1152/ajpgi.00357.2013

カギを握っているのはATP分子。ATPは、細胞内のエネルギー分子としてよく知られていますが、腸管内ではバクテリアの成長阻害因子として働きます。

で、ATPの作用を抑える物質「intestinal alkaline phosphatase」(IAP:消化管アルカリリン酸化酵素、でいいかな)をホスト動物の腸の細胞が分泌している。こいつの作用でATPの働きがブロックされれば、腸内の善玉菌が増える、、というお話。

IAP遺伝子をノックアウトしたマウスでは腸内細菌バランスが乱れて悪玉菌が増えた、とか、その手のデータが出ているようです。

腸内細菌は、100〜1000種ものバクテリアが相互作用する複雑な生態系であり、その中の菌を1種類ずつ取り上げて「これがいい」とか「こいつが悪い」などと評価するのは難しいです(単に難しいだけでなく、おそらくそういう二分法的な発想で解釈すること自体が間違っています)。

ただ、そういう複雑な系の全体的なトレンドが、比較的単純なパラメーター(温度とか、pHとか)によってがらっと変化し、結果として健康的な方(ないし不健康な方)へどどっとと傾くのは、意外とよくあることです。

人間社会もそうですね。完全な善人や、完全な悪人などというのはどこにもおらず、たいていみんな程々のところで周りと折り合いながら生きていますが、社会全体のトレンド(景気動向とか、異常気象とか)によってふと、世の中の雰囲気ががっと一つの方向に傾いたりする。

(そういうよくわからない「時代の流れ」の中で、気がついたら国が戦争をしてたりすることもあります)

ATPも、そんな感じで腸内環境の全体的なトレンドを左右するキーファクターなのかもしれませんね。