ほんものの勝負師には、勝つことより大事なことがある
facebook経由で目にしたなでしこジャパン宮間選手に関するブログの記事。
宮間選手が、勝ったあと、勝利に沸くチームメイトを尻目に、一人相手選手たちと握手していた、という話。
去年のワールドカップ決勝後のこの行動は話に聞いていましたが、リンクしたブログによると、今回の対フランス準決勝後も、同じようにふるまっていたんですね。
彼女にはきっと、勝ち負けよりも大事にしていることがあるのでしょう。
将棋の棋士は、勝負が決まったあと2人で感想戦を行い、別の指し手だったらどうだったか、時間をかけて検討します。棋士は勝負師であると同時に、将棋というゲームを研究し、理解を深めるための同士でもあるわけです。
棋界の頂点に立つ羽生さんは、勝つだけではなく、「未来にいい棋符を残す」ことを強く意識している、という趣旨のことを語っています。
そして名人戦や竜王戦などの大勝負になるほど(つまり強い相手と対戦するときほど)、難解でチャレンジングな展開に持ち込んでいきます。
勝つことだけを価値視する姿勢はときに、相手が弱体化することを喜ぶ姿勢を生みます。
一方、自分の技を高めることを目指す者は、レベルの高い相手を望み、そこで互いに高め合うことができます。
そうなった場合、相手に対する尊敬の気持ちを抱くようになるのは、自然なことでしょう。
その意味で「スポーツマンシップ」というのは、単に人格的な話ではなく、より多くを学び、自分を高め、成長するためのあり方なのだと思います。
たぶん宮間選手は、そのことをよくわかっているのでしょうね。